アニメーション制作の常識を覆すAI「AniSora」が登場
中国の動画共有プラットフォーム「bilibili」のAI研究チーム「IndexTeam」は2024年4月14日、1枚のイラストから数秒間のアニメーションを自動生成するAIツール「AniSora」をオープンソースで公開した。
これは、これまでのアニメ制作における課題をAIで解決しようとする試みであり、業界内外で大きな注目を集めている。
AniSoraは、従来の動画生成AIが抱えていた「線画の破綻」や「キャラクターの一貫性の欠如」といったアニメ特有の問題を克服するために開発された。
特にアニメでは、二次元特有の誇張表現やキャラクターの繊細な表情、動作が重要視されるが、既存のAIモデルではこれらを自然に表現することが難しかった。
AniSoraでは、約1,000万本のアニメ映像を学習データとして活用し、アニメ制作に特化した設計を実現している点が大きな特徴である。
画像1枚から動く映像へ AniSoraの仕組みと可能性
AniSoraの主な機能は、静止画1枚からアニメーションを生成する「Image-to-Video」技術である。
生成される動画は24〜30fps、最大約60フレーム(約2秒)の長さで、キャラクターの髪や体の動き、口パクなども自然に再現できる。
また、「時空間マスク制御」と呼ばれる独自技術により、時間軸・空間軸での一貫性が確保されており、これまでにない高品質なアニメーション生成が可能になった。
さらに、AniSoraは低フレームレート映像の補完やキャラクターの部分的な動作制御(局所制御)にも対応しており、アニメーション制作における多様なニーズに応える仕様となっている。

画像の出典:bilibili/Index-anisora公式GitHubリポジトリ

画像の出典:bilibili/Index-anisora公式GitHubリポジトリ
利用方法と今後の展望 アニメ制作の未来を変えるか
AniSoraは、bilibiliが運営するクラウド型生成サービス「Komiko」上で有料プランとして提供されているほか、GitHub上で公開されているリソースを利用すればローカルでの実行も可能である。
ユーザーは画像ファイルと生成内容を指定するプロンプトをアップロードするだけで、数秒間のアニメーションを短時間で生成できる。
bilibiliは2024年5月末を目標に「AniSora V2」の完全公開を予定しており、高解像度・長尺動画への対応や、948本のベンチマーク動画による品質評価体制の構築など、さらなる技術向上を進めているという。
AniSoraの登場は、アニメ制作の現場における効率化や表現の幅の拡大に大きな影響を与える可能性がある。
今後、この技術がどのように普及し、クリエイターたちの創作活動にどのような変化をもたらすのか、引き続き注目していきたい。
コメント