はじめに
OpenAIは2025年6月4日(現地時間)、対話型AI「ChatGPT」に新機能「Connectors」と「Record Mode」を追加したと発表した。これらの機能は、企業向けユースケースの拡大と生産性向上を目的としており、業務利用を想定した機能強化である。
ChatGPTにクラウド連携と音声記録機能が追加
OpenAIが今回追加した「Connectors」機能は、ChatGPTとOutlook、Gmail、Google Drive、Teams、Linearに直接接続し、ユーザーのデータに基づいた対話や調査を可能にする機能である。
特に、同社が提供するAIエージェント「Deep Research」が大量の情報を分析・統合してレポートを自動生成する能力と組み合わせることで、日常業務の一部を代行する高度な支援が実現する。
Connectorsは、有料プラン(Plus、Pro、Team、Enterprise、Edu)のユーザーが利用可能で、Team以上のプランではDropboxやSharePoint、Boxの追加ツールにも対応する。
さらに、MCP(Model Context Protocol)に対応したDeep Research用コネクターの開発も可能となっており、企業内のシステムとも柔軟に連携できる。
OpenAIは、接続されたデータを含む、Teams、Enterprise、Eduプランは、ユーザーデータがAIモデルの学習に使用されないと明言しており、アクセス権限も厳格に管理される。
OpenAIは同時に「Record Mode」も発表し、ChatGPTが音声会議の内容を文字起こしし、要点を整理して次のアクションを提示する機能を追加した。
現時点ではmacOSのTeamプラン限定で展開されているが、今後はPlus、Pro、Enterprise、Eduプランにも拡大される見込みである。
業務支援AIの進化と課題
OpenAIが導入した「Connectors」と「Record Mode」は、ChatGPTを業務ツールとして進化させる大きな一歩である。
最大のメリットは業務効率の大幅な向上だ。
Connectorsにより、複数ツールから情報を横断的に収集・分析できるため、調査やレポート作成の時間を大幅に削減できる。
特にDeep Researchとの連携により、煩雑な情報整理が自動化される点は実用性が高い。
Record Modeも、会議内容の文字起こしと要約を自動で行うため、議事録作成の負担を軽減する。
ハイブリッドワークが一般化した今、こうした機能は日常業務に直結した利便性を持つ。
ただし、業務プロセスの自動化や情報活用の高度化が進む一方で、それに伴う規制整備や管理体制の確立も不可欠といえる。
ChatGPTのような汎用AIが「社内エージェント」としての役割を担い始めた今、企業に求められるのは、利便性とリスクのバランスを取った戦略的なAI導入だろう。
コメント